薪棚をつくる
猶予は(たぶん)ない
もらってきた木を壁際においているため、もたもたしていてはシロアリがいつ来るともわからない。
ちょうど三連休なのでこの機会に作っておきたい。
早速設計を始めることにした。
家に置ける棚のスペースは幅2700くらいだったためそれをフルで使うことにした。
高さは2000mmくらいにする。
奥行きを決める。薪の長さを基準にするが、薪の長さは300~400とするのが定番そうな印象を受けた。家のストーブの焚口の幅もそれくらいのなのでそれに準じた寸法とする。
もらってくる燃料は選定くずなどが主なので長さが不揃いなものが多く、いちいち切り詰めていては面倒なうえ500mmくらいの枝の場合中途半端な端材が出るため、そういうのも切らずに置いておけるように棚の幅を400mmくらいにしようかと思ったが、さすがに狭い。倒れてしまっては困るのでやむなく二列仕様で800mmとした。
屋根材はオンデュリンというものをホームセンターで見かけた。
一見するとトタンのような波板だが、マットな材質でひとつひとつの山が大きく、洋瓦のような雰囲気が出る。フランス発祥らしい。
2000×950で一枚1980円とさほど高くないし、家の外に置くので人目に付くため、見栄えを考慮してこれを使おうと思う。
材料購入
ホームセンターで垂木とオンデュリンを買ってきた。
45*36*4000の垂木18本とオンデュリンClassic2枚、トタン用の傘釘で約15000円だった。
オンデュリンはグリーンがよかったが売り切れていたのでブラウンにした。
一日目はこれで終了した。
製作開始
いつもと違ってあらかじめ設計図を作っておいたので切り出しがスムーズだ。
特に、垂木からどの長さの材料をどう組み合わせを切り出すか、というのを考えておくのとそうでないのは大きな違いがある。
仮に3mを3本、500mm6本を4mの垂木3本からとる場合、うかつに4mの垂木一本から500mmを6本とってしまうと1mの端材が余るうえに3mがとれなくなってしまう。
こういうことを場当たり的にやって100%ミスしてきたので今回図面を作ったのだ。
最低限必要な材料の切り出しが終わった。図面のおかげでノーミス・・・
とはいかない。うっかり6本しか必要ない柱を8本切り出してしまった。
想定内である。自分が初見の物事を滞りなく成し遂げることなどほとんどない。
余分の柱は短い材料を切り出すのに使えるので、長めに残るはずだった端材が短くなってしまうものの、材料が足りなくなることはない。
さらに垂木は6本セットしかなく、それを3束買ったのでもともと数本余る予定だった。まだミスには耐えられる。
アルミフレームと直角のアタッチメントを使って冶具を作ったりしながら枠を組んでいく。
枠が完成した。正面、背面の枠を先に作っておき、短い梁を渡していく作戦だ。
枠を手で支え、クランプで固定し、コーススレッドを打っていく。組み立てていて思うが、あまり直角が出ない。画像のように変に段差のあるところで作っているせいもあるだろうが、家などを建てるときはどの程度直角、並行が出ているのだろうか。
そして、どうすれば直角が出るのだろうか。まず、材料にカンナもかけずに使っているのが間違っているのかもしれない。
これは屋根の勾配。幅800mmに対して200mmなので
tan^-1(1/4)≒14.036
でだいたい14度くらいだ。数字にすると寝ているようだがこうしてみると結構急な気がする。
どうでもいい話だが、三角関数を使うたび、毎回紙に1:2:√3の直角三角形を書き出し、既知の数字から欲しい数値を割り出すために使うべきはサインだったか、コサインだったか、いや逆関数の方だったかな?と考え、tan^-1(1/√3)を計算したときに30°が導き出せたから実際の寸法を1と√3の代わりに代入すればいいのか、という結論に至るまでに毎度無駄な時間を使っている。
この程度ならたいしたことはないが、もっと複雑な話になったとき、数学はもう少し頑張ればよかったなとよく思う。案外学校で習うどの科目にも無駄な内容はないと思う。
”大人になってから勉強しとけばよかったと思うものだ”ということはよく聞くがその通りである。
だいたいの形が見えてきた。
結構ゆがみがあるので完成するまでに強引に変形させて筋交いを入れ、矯正しよう。
二日目はこれで終わった。
三日目
壁代わりの間柱を入れ、ゆがみを強引に矯正する。
筋交いにしては短い隅に斜めに入った補強材は、それぞれ鉛直面に入れるものを方杖(ほうづえ)、水平面に入れるものを火打(ひうち)というらしい。
少し調べ出したが、用語が多すぎてすぐには覚えきれないし、そもそも建築用語であって、棚にも適用できる単語なのかもわからないし、間違って使っているとかっこ悪いので確信できるまではむやみに使わないようにしよっと。
あとは屋根を乗せるだけだ。
これも別で作って乗っける。
屋根の勾配に対して直交するものを桁、平行なものを垂木というらしい。
これを再確認するためにオンデュリンの施工ガイドを読み直したら桁の間隔はこの屋根の角度の場合、最大で61cm以内にしなくてはならないらしい。自分は81cmにしていた。この記事は完成後に書いているので手遅れである。
次からは屋根の設計も先にしたほうがよさそうだ。(当然である)
柱の先端、屋根の枠が乗るところを斜めにカットする。
隙間が目立たない程度になっていればいいので鉛筆で線を引き、手鋸で何となく切る。
設計段階であらかじめ明確にして切り出すときにやっておけばやらなくていい作業だ。
もう少しうまく切れたものもあったが写真を撮り忘れた。
オンデュリン。アスファルト系(?)の屋根材。
アスファルト系とはどういうことかと思ったがすぐに分かった。
きっとこのガム質な感じがアスファルトなんだ。
鋸で切れるというようなことが書いてあったので10cmほど切り進めたら刃がこんなになった。まさしくアスファルトのようにネチャネチャした素材だ。
丸のこを使っても刃がギュッと止まりキックバックしてくる。
カットラインに沿って切削油代わりにエンジンオイルを塗って強引に切った。
エンジンオイルを塗るのはカットラインがわかりやすくなって良いかもしれないと作業中思っていたが、記事を書くにあたって施工ガイドを見直したら切断時には油を塗れとしっかり書いてあった。
枠に波板用の傘釘を使って打ち込んでいく。
オンデュリン専用のものを必ず使ってくださいと書いてあるが、売り場の周囲にオンデュリン用は見当たらず、トタン用が裏にあったので代用は効くのだろうと思っていたが、実際に合わせてみると、一般的なトタンより山が大きいので山の頂点で打つと桁まで届かない。
谷で打ってしまうと雨漏りの原因になりそうなのは容易に想像できる。
買いに行こうとも思ったが汗でビチャビチャなので行くならシャワーを浴び、着替えてから行かなくてはならないが、またすぐ作業で汗だくになるだろう。
すでに疲労がピークで作業をとっとと終わらせたくて仕方なくなっていたので、やむなく谷に打った。
この釘打ちの工程の写真をすっかり撮り忘れているところにもそれが表れている。
雨漏りしたって濡れるのは薪だ。もうかまわない。
いや濡れたら構造材が腐りやすくなるのでは?釘がサビて耐久年数が落ちるのでは?とトタン釘の施工への考えを巡らせながら打っていく。しかしもう後にはひけない。
出来上がった屋根を高さ2mの柱の上に載せる。とても重い。この工順も間違いだったかと思ったがなんとか乗せられた。
とりあえず完成
いろいろあったが出来上がるとなかなかよくやったという気がしてくる。
屋根があると仕上がりの見栄えが一段違う。
ただのトタンと違って山が大きく、洋瓦っぽい雰囲気があって安っぽくない。
幅2.7m、高さ2mともなると棚用の段がなければちょっとしたバス停としてありそうな感じだ。
屋根付近が比較的貧相に感じるがここにも補強を入れたほうがいいのか?
そして幅が広すぎる屋根の桁は追加した方がいいのか…
棚部分はこのまま使ってもいいが、薪を乗せるという性質のものなので、カビや虫が移ったりすることもあると思い、塗装することにする。
クレオパワーという塗料が防腐防カビ防蟻性があるらしく、水性なので扱いやすくてよさそうだ。
二年後、ちょっと改造しました。