ダーツを作りたい
友達に誘われてダーツに何度か行ったところで自分のダーツが欲しくなってきました。
ダーツのバレルはちょうど旋盤で作れそうなサイズ感で、モチーフにしたいアイデアがちょっと浮かんだので自作してみることにしました。
高級なバレルの素材としてタングステンが使われているようですが、タングステンはデタラメに高価で、かつ加工が難しそうなので、バレル素材としては二番手の素材の真鍮を使うことにします。ちょうど9mmの丸棒が家にあります。
なるべくバレルに密度が高い素材を使うことで、ダーツの重さを稼ぎつつ細くでき、ダーツが密集したときにすでに刺さっているダーツに弾かれて狙いを外さないため有利だそうです。
砲弾と似た理屈ですね。
デザイン
モチーフにしたいのは空冷のレシプロ機で、先端側はエンジンカウルのような角Rのついた円筒で、排気を抜くカウルと胴体の段差を経て尾翼までなだらかに細くなるようなイメージで作ります。
仕上がりの重さが大事なので重量を確認しつつ形状を決められるようにFusion360でモデルを作りました。
だいたい20g弱ぐらいが相場なのでそれを目指します。
飛行機をモチーフにするとダーツとしては長さの割に太くなってしまいます。
当初は素材の太さをフル活用して9mmのまま短めのバレルにするつもりでしたが、だいぶ見知ったダーツよりは太くなってしまいます。
前述の細さによるアドバンテージを考えるとあまり太くしたくはありません。
市販の真鍮性バレルを調べると8mmのものがあったので8mmにしました。
なんとなく作っていくと、小さいものを重く作るのはなかなか難しいことに気付かされます。
それなりのサイズのものを軽くするのも難しいですが、強度など何かを諦めれば達成できるのに対し、小さいものをなるべく重くするとなるとどうしても超えられない密度のカベが立ちはだかります。
鉄の密度が7.87、
真鍮が8.73、
銅が8.93、
鉛で11.3、
ウランが18.7、
タングステンと金が19.3、
全物質中最も密度の高い素材でオスミウムの22.57となります。
重い重いと思っていた鉄が頼りなく見えます。
この中から強度、安全性、コストが現実的でなるべく密度の高い素材は真鍮か銅しかありません。
タップの下穴を貫通させて鉛を詰めてもせいぜい1g稼げるかどうか。
長さで体積を稼ぎ、なんとか19gになりました。
飛行機にしてはすでにだいぶ長いです。
ここにチップとシャフト、フライトをつけるともう普通のダーツになってしまいそうです。
加工
真鍮棒を旋盤で加工します。
真鍮は削りやすくていいですね。
金色なのもインスタ映えします。
カウルと胴体の段差は外形バイトの三角形を突っ切りのように使って作り、後ろ側の流線型は刃物台を傾けてテーパーに削りました。
そして、バレルを自作するうえで問題になってくるのがチップとシャフトの取り付けのネジ部になります。このネジはメートルではなくインチ系でユニファイNo.10−32というサイズになります。
これをどうするか迷いましたが、
M5が近いサイズなので、試しにM5ナットにチップとシャフトをねじ込んでみましたが若干ゆるいもののねじ込むことはできました。
なのでM5タップを立てれば代用になります。
が、以前からやってみたかったことがあったので、あえてそれはせず、タップを自作した上でユニファイのネジ穴を加工してみます。
作ったタップを立てて、チップをねじ込むと、少しゆるいですがうまく固定できました。
エンジンカウルのRはワークを回転させた状態でヤスリを当てて削りました。
これで完成です。
戦闘機らしくカウルを黒、胴体を緑に塗って日の丸でも描こうと思っていましたが真鍮の金がきれいなので、しばらくこのまま使ってくすんできた頃合いで塗ろうと思います。
完成
シャフト、フライト、チップを揃えました。
飛行機の胴体のイメージに近づけるためにシャフトはなるべく短めのものにし、
フライトはなるべく大きいスタンダードで色はバレルの金に合わせて黄色のものを、
チップはプロペラのスピナーキャップのイメージを出すうえでなるべく短く見えるようにツートンにすることで先端の白い部分の存在感を薄くできるかなという狙いがあります。
投げに行きましたが市販品と比べて違和感もなく普通に使えました。