【ライブディオ】中華キャリパーへの交換

ライブディオのブレーキキャリパーですが、スライドピンが固着していました。

しばらく放置していたのですが、パッドの減りが偏り始めたので修復を試みました。

ブレーキを外してスライドピンがねじ込んであるキャリパーブラケットを金床にあてがい、ハンマーでキャリパーを打撃して固着したスライドピンの強制的なスライドを試みましたが、人智を超えた金属の接合現象"固着"の前には人間のちっぽけな抵抗などは無に等しく、どうしようもないのでキャリパーを新品に交換することにしました。

(ちなみに、キャリパーを外した後に破壊を覚悟でスレッジハンマーで打撃したところ、アルミのキャリパーとそれに打ち込まれたスリーブ、スリーブと摺動するスライドピンのうち、ピンとスリーブが固着したままキャリパーから数ミリずれて飛び出ただけでピンの抜き取りは叶わず、キャリパーが変形したためそれ以上は諦めました。)

といっても純正は程度がわからないし、これといった社外品もなかったので、Amazonの中国製と思しきキャリパーに交換することにしました。

結果として、使えなくはないですが問題点もいくつかありました。

製品にばらつきはあると思いますが、取付を考えている場合は一例として読んでおくといいかもしれません。

キャリパーについて

キャリパーは、レビューから一回り大きいということは分かっていましたが、基本的には純正のコピーと思いきや、割と異なる部分が多いです。

ピストン径

純正はφ30ですが、こちらはφ34です。受圧面積が1.28倍になるため、ピストンの推力はずいぶん上がります。ブレーキ力が摩擦力の計算式通りに出せるなら、ブレーキ力の向上はそのまま28%アップになります。

ブレーキパッド

ブレーキパッドは、台金のサイズは同じですが、ライニングの面積が異なります。

左が純正、右が中華キャリパー付属のパッドとピン

ディオのブレーキを真似しているだけで、対象としているのは他の車体なのでしょうか。パッドピンもピン部分は同じ径ですが、ネジ部が一回り小さいです。

このパッドをそのまま使うとディスクの内側に当たりすぎたり、上の方ははみ出てしまいます。パッド自体は互換性があるためディオ用のパッドを使うのがいいでしょう。

下の写真は新しいキャリパーに純正パッドを取り付けた状態ですが、パッドの端とディスクの端がほぼ同じ高さのため、ディオ用パッドを使えばディスクとの当たりをそのまま維持できます。

取付について

キャリパーブラケットの穴ピッチ

キャリパーブラケットの取り付け穴ピッチは、商品説明に85mmと記載があります。

私のディオにはバイクパーツセンターのZX風フォークに換えてあり、このフォークの取り付け穴ピッチは83.5mmです。純正フォークも83.5mmじゃないかと思うので、85mmといいつつ実は83.5mmだろうと思ったら、ちゃんと85mmでした。

よって、フォーク側の取り付け穴を少し削らなければ取り付けできません。

ZXでないライブディオへの取り付け

私のものもそうですが、ZXでないライブディオはブレーキブラケットの取り付けがなぜかZXと異なり、下端がアクスルシャフトと共締めです。

よって、このブレーキを取り付けるためにはフォークをZX準拠のものに交換するか、キャリパーブラケットを流用する必要があります。

drops662.hatenablog.com

スライドピンに問題がある場合はブラケットを流用したくないし、

スライドピンを交換できるなら純正キャリパーをそのまま使った方が信頼できるでしょう。

スライドピンが固着して外せない場合はブラケットを流用できません。

 

フォークをZX準拠のものに交換し、ブラケットもZX準拠にするのであれば、今までアクスルに挟まっていたブラケットの厚み分隙間が空くため、ブラケットの厚みは6mm分のスペーサを用意する必要があります。

3mmのスペーサを2枚入れました。

この辺を勘案して交換を決める必要があります。ポン付けのようでポン付けではありません。

問題点

品質

新品を袋から取り出した直後の写真ですがブレーキホースの座面に塗装が割り込んでいます。マスキングから染みてきたのか、塗装は表面に定着してはおらず、引っ掻くとパリパリ割れました。気づいたので剥がしてから使いましたが、このままホースを締めてしまっていたら漏れていたと思われます。

 

加工の品質もいまいち信用できない部分があります。

パッドピンの回転が妙に渋かったので抜いてみると、ピンの先端が刺さる穴が左に少しずれていました。

前述のパッドの当たりの写真でも少し端が浮いているので、これが原因でパッドが傾いてないか心配があります。

取付、取り外し

Amazonのレビューにもありますが、このキャリパーを取り付けた場合、ブレーキディスクを外さないとキャリパーが外れません。

ホイールを外す=キャリパーを外す=ブレーキディスクを外す

ということになり、整備性は非常に悪くなります。

ただし取り付け後に干渉するということはありません。

「純正より少し肉厚があるだけで、引っかかりはわずかだろう。ZXのアルミホイールの場合は干渉しても、無印の鉄ホイールならばホイールが薄いだろうから、案外干渉なく取り付けられるかもしれない」と思っていましたが、全然ダメでした。

鋳物がちょっと厚い、とかではなくピストン径が思いっきり違うからでしょう。

漏れ

ブレーキパッドの当たりの写真を見てもわかりますがピストンが少し濡れています。初めのエア抜きの際、ブレーキレバーを握ったまま一日放置したあと、指でなぞったらオイルが指についたため、漏れていた可能性があります。(完全にふき取り確認、漏れ確認したわけではないので未確定)

ただし、その後は数日保管したあとや乗車後に指で触っても漏れはないので、そこまで問題にすることではないかもしれません。

 

一方こちらは確定ですが、ブリードバルブのネジ部は拭いても翌日には染みています。

地面に垂れるほどではありません。

ブリードバルブを純正のものに交換してみようとしましたが、ネジの長さが異なりテーパー座面に届きませんでした。

 

塗装の割り込みもそうですが、あらかじめ内側にゴミなどが入っていて、それを噛んだり接触面にキズが付いた可能性も否定できません。

私はそのまま使ってしまいましたが、ピストン、ブリードバルブ、バンジョーボルトなど、外せるところはすべて外して確認、清掃、エアブローをしておけば防げる漏れもあったかもしれません。

 

たつき

走行中、フロントからダダダッ とか カタカタ…と鳴ったり鳴らなかったりします。

手で車体を押しても発生するので、キャリパーを触りながら車体を押して症状を発生させて確認したところ、発生源はキャリパーの振動によるものでした。

キャリパーを掴んで揺すると確かにカタカタ動きます。純正ブレーキは車体を入手したときから固着していたので純正と比較してどうなのかはわかりませんが、スライドピンの遊びが大きい気がします。

原因としては、のぞき込むとパッドの端が浮いており、パッドがディスクに対して傾いているためパッドの端とディスクが軽く触れているときにリーディングシューの要領でディスクに突っかかり、スティックスリップを起こしているせいだと思われます。

パッドの傾き自体はパッドピンの傾きのせいか、ピンとピストンの平行が出ていないのか、はたまたバイクパーツセンターフォークのブレーキ取付面が傾いているのか…(その場合、純正ブレーキは下端をアクスルと共締めしていたためフォークの取り付け面の影響を受けにくかったと予想 今回は上下ともフォークに固定している)

 

キャリパーに剛性があればスティックスリップは起こらず振動もしないはずですが、前述のとおりスライドピンにガタがあることも副次的な原因かもしれません。

ブレーキをそれなりの力で掛けているときは発生しません。パッドとディスクの接触によるテンションによりブレーキ全体が支えられて剛性が上がるからでしょう。

 

結果

これまで、中古のバイクしか乗ったことがなかったので新品のキャリパーはこんな感じなのか…という基準がわかったのは一つの収穫でした。

手でキャリパーを押せばそれほど力を入れなくてもピストンを戻すことができ、

キャリパーのスライドはスカスカで、引きずりはゼロでドラムブレーキ車並みにホイールの回転が軽いです。

ブレーキとしては品質に疑問がある部分はだいぶ多いものの機能してはいます。

が、次にキャリパーを交換する機会があっても買う気は起きません。