CNCの冷却システムと中国製水冷PC用ポンプ

CNC用水冷モータの冷却

自分のCNCに使われるモータは水冷なので、冷却水の循環のシステムを作らなくてはならない。

空冷と比較して面倒だが、水冷モータであることはCNCボックス内に密閉されるCNCにとっては熱をボックス外に排出できて都合がいいという面があると思う。

自然冷却

CNCのメーカーの取説に書かれた構成。

  • タンク(バケツ)
  • 付属ポンプ
  • モータ

の三つを循環させるというもの。

大量の冷却水を用意すれば自然の冷却で間に合うのかもしれない。

ペットボトルなどをタンクとすればほこりが入ったりこぼしたりする心配はないのかもしれないが密封されることや、かさばるので水の容量を減らしたりすることで冷却が間に合わなくなりそう。

そこそこモータの出力があるので(1.5kw)気温や稼働時間によってバランスが崩れるかもしれない。

なんとなく気に入らないのでこの方法は使わない。

簡易水冷ラジエータ流用

上記の構成の代わりに、

  • PC用簡易水冷のラジエータ部(ファン付き)
  • 付属ポンプ
  • モータ

の構成を初めに作った。

ポンプ付き水枕が壊れた簡易水冷を持っていたので、ラジエータおよびファン部のみを取り外して循環経路に接続した。

簡易水冷にはタンクがないから、水を充填するにはホースの一部を切ってジョイントでつなぎ、クーラントを入れた容器にホースの両端を突っ込んでポンプの電源を入れ、水が回って気泡が減ってきたらホースを引き上げてジョイントをつなぐという面倒な作業があるのであまりおすすめできない。

簡易水冷のラジエータが余っている場合はあまりないとは思うが。

数十分程度ファンが動作した状態での加工を行ったが、多少暖かくなったところで加工が終わってしまった。

 

ラジエータのファンが程なくして破損?して回らなくなったので効果のほどはよくわからない。

別の日、一時間程度ファン無しで水だけを循環させて鉄を削っていたが、モータのカンがだいぶ暖かくなったので(40~50℃?)途中でやめた。

 

240mmラジエータ+リザーバ付き水冷PC用ポンプ 付属ポンプ+防音対策

  • 240mmラジエータ(120mmファン二個分)
  • リザーバ付き水冷PCポンプ 付属ポンプ+防音対策
  • モータ

中国製水冷PC用ポンプ

簡易水冷が破損したこともあるが、付属のポンプがエアコンプレッサーのような音でとてつもなくうるさいこと、タンクがないと水の充填が面倒なのでタンク付きの水冷PC用ポンプを買った。

 おそらくAliExpressで買えるが、Amazonの方が早いのでそうした。

仕樣:
流量:最大500L / h (8.3L/min)
ヘッド:最大3メートル
電源コネクタ:3ピンコネクタ
電圧:DC12V
電力:10W
ノイズ:16 DB
作業寿命: 50000時間
水タンク容量:250 ml
ネジ接続:G 1/4 "DN8
製品寸法:直径60 mm×高さ160 mm

 

あまりこの手の安物のポンプのレビューが得られなかったのでこの中華ポンプのレビューを書いておけば、この記事のなかで一番見る価値があるのではないだろうか。届いたポンプを電源に接続すると、モータが回っているのかわからないレベルで小さな音がする。吐水量によるが、音量に関しては文句のつけようがない。

と、文字で書いたところで程度がわからない。ウルトラマン並みの聴力を持った人ならうるさくて仕方がないと評価するかもしれない。

と思ってスマホで付属のポンプとこのポンプの動作音の差を動画に残そうと、電源に接続したら、ピンを間違えた。モータは二度と回らなくなった。

4200円のタンク付きモータはモータ音を聞いただけでアクリルタンクに成り下がった。

そしてレビューを残すこともできなくなった。

 分解

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基板を見ることができ、焼けた部品が簡単なものなら取り替えたりできるかなと思ったがエポキシ?でガチガチに固められていてどうしようもなかった。

ポンプのインペラを外すことができたが外形は指ほどしかない。

この小さな羽で毎分8L以上もの水を送ることができるのだろうか。

また、安いポンプなのでFA-130とかのブラシモータが入っているのではと懸念があったがブラシレスであることがわかった。コイルはケースの内側に密閉されていてローターだけが水に接するようになっている。

ラジエータ

ラジエータはいわゆる本格水冷のものを買った。Amazonでファン付きの一番安いやつ。適当に240mmサイズを選んだが、水冷PCを作るときは240mmラジエータではCPUを冷やすのが精いっぱいだそうだ。投入したエネルギーがすべて熱に変わるPCパーツとはまた話が違うが、本当にモータの出力が1.5kwならモータの効率によっては冷却能力が足りないのでは?

いくら考えたところでもう買ってしまったので、問題がなさそうか水温を見ながら評価する。こういう程度がよくわからない場合は多少オーバースペックなものを選ぶべきだったと思う。

 

構成

水の流れは、ポンプOUT→タンク→モータ→ラジエータ→ポンプIN

という回路構成にした。ジョイントの口径とホースの都合と、ポンプの発熱を少しでも軽減するため、なるべく冷えているであろうラジエータ通過直後の水をポンプに導きたかったからだ。

さて、ポンプはタンクになったので、ポンプは既存のものを使わなくてはならない。

買い直すことも考えたが、肝心のポンピング力を見ていないので買い直したものが使い物にならなかったらもう立ち直れない気がする。

しかしこのままではうるさくて使いたくないので、防音性を上げる試みをすることにした。

MDFで箱を作り、吸音用ウレタンスポンジを仕込んで密閉することで、相当音量は小さくなった。

さらに、ポンプの定格電圧は24V、制御盤のポンプ用電源出力電圧は24Vだが、ファンの電圧は12Vなので低いほうに合わせるためDCDCコンバータを噛ませてポンプにも12Vを供給したことで音量はさらに小さくなった。

制御盤とラジエータのファンの音に紛れてほぼ音は聞こえなくなった。

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しかし、密閉してしまうのでモータの排熱は処理されない。一応ケース内配管の金属管部分を長く取っているので周りの空気を冷やす効果を得ようとしているが…多分意味はない。

しかしポンプ付きタンクがあるとやはり冷却水の補充が簡単だ。

所感

主軸モータの冷却

鉄をφ5エンドミルのS15000で四時間半連続加工を行った。

二時間経ったあたりでモータのカンやラジエータやホースを触ったが人肌以下という感じだったので、240mmラジエータで冷却は十分そうだ。

モータの負荷がこれだけですと明示できないこともそうだが、ポンプの能力によって左右される部分が大きいのではないかと思うので保証はできない。

PCのポンプはタービンポンプで、付属のポンプは何らかの容積ポンプである(分解したが方式がわからなかった)。 

ラジエータに息を吹き込んでみたとき風船を膨らませるとき並みの抵抗を感じたのでラジエーターそのものの抵抗が大きそうだ。

ダイヤフラムポンプやピストンポンプなら一行程で一定の体積の水が送られるが、おそらくタービンポンプでは能力を超えた抵抗がある場合吐水量が回転数と比例しなくなってくると思うので、抵抗の大きな要素がある構成でPCのポンプを使う場合は極端に流量が減って冷却効率が落ち、ラジエータ容量が不足するということがあるかもしれない。

かもしれないとしか言えないのが残念だが知識が足りない。

 

つなぎ間違いで壊していなかったら各部品を取り付けた状態での二者のポンプで吐水量の実測値を比較することもできたのに・・・

ポンプ用モータ

ポンプの防音箱の効果はそれなりだったが、密閉しているのでポンプモータはだいぶ熱くなっていた。そのため途中で部屋を離れるときには放熱のため箱のふたを開けておいたが、より長い時間使用し続ける場合、モータが焼けたり場合によっては火災になったりという危険が考えられなくはないので、ゆくゆくはちゃんとした装置で固めたいところだ。