Todayのリミッターをカットするには
Todayの加速力を上げるため、キタコの軽量クラッチシューを肉抜きしてさらに軽量化し、ウエイトローラーも少し軽めにしたら、ベルトが上がりきらなくなった。もう少し回転数が稼げればプーリの端まで使い切れるかな、と思ったがあいにくとTodayのCDIにはレブリミットが備えられている。
社外CDIは用意されているが価格は17000円程度なようで、他車種向けに出ているデイトナやPoshのCDIが一万円未満で買えることを考えると、もともとのパワーのない車種なぶんコスパが悪い。そしてもう廃番なのか、通販サイトはどれも取り扱い中止になっている。
どうにか他のもので代用したいが、純正CDIユニットからは二つのカプラ、十本あまりの配線が出ていて配線図がなければどこがどうなっているのかわけが分からない。
調べると有能な人が考察を書いていて、純正CDIはいろいろな機能がいっしょくたのユニットになっているため配線がたくさん生えているだけで、点火に関わる部分は特別な仕様ではなく、普通にそのうちの二本がピックアップのパルス線とイグニッションコイル行きの線になっているだけなので、その部分だけを外して他のCDIをつなげば使えるのでは?とのこと。
なるほど。
青黄の線がピックアップ、黒黄がイグニッションコイル。
画像が見づらいが現物を見ればわかるはず。
ピックアップを二股に分けているのはタコメータの信号をとるため。
自作CDIを試す
まずはこれまた有能な人が考えた自作CDI、HT-Rocketを作ってあったから、それを使ってエンジンがかかるかだけを試した。このCDIはAC-CDIだがTodayのCDIはDCだ。
ACの場合はジェネレーターに点火用の高電圧を供給するためのエキサイタコイルが備わっているのでこの電圧をCDIに一旦貯め、イグニッションコイルでさらに昇圧してプラグに火を飛ばす。DCは他の電装と同じDC12Vを供給し、昇圧回路で昇圧した電圧を貯めておいて使う(ものだと思っている。合ってるはず)。となるとTodayで使うには昇圧回路が丸々ないことになるのでエキサイタコイル電圧として別で調達しなくてはならない。
エキサイタコイル電圧は70V程度が相場らしい。ACである程度高い電圧といえば一家にひとつ用意されている便利な電源がある。
コンセントから電源をとり、スライダック(二次電圧を自由に変えられるトランス)で電圧を調節してCDIに接続した。
かつてエンジンの稼働に商用電源を必要とする原動機付自転車があっただろうか。
コンセントをエキサイタコイル電圧の代わりにするのは正解だったようで、エンジン
はかかった。が、点火タイミングはずれているようでうまく吹け上がらなかった。
これはアンビリカルケーブル(コンセント)なしでエンジンをかけるためジェネレータの発電電圧(交流)がレクチファイアに入る前に分岐して取り出し、トランスで昇圧して使っているところ。しばらくは走行できたが五分ほどでトランスが破損した。適当なジャンク品(ラジオだったかな?)からもぎ取った容量も定かでない降圧用のトランスを逆接して使っているのが原因だろう。
ともかく、CDIを置き換え可能であることはわかったので後は手ごろなCDIでタイミングがある程度合うものを見繕えばいい。
中華CDIを試す
そこから、ちょうどいい点火タイミングのCDIを見つけるため、家に転がっていたメイト90だかのCDI、二個入り中華DC-CDI、DIOに使おうと思っていたいわゆる銀Posh、買い足したまた別の中華CDIの五つのCDIをつなげてみたが、初爆すら得ることなく壊れ去った。
というのも、中華CDIには取説もなく、何用のCDIなのか、本当にDCなのかACなのかもわからず、ピンアサインも不明なので、形状がカブのものだからカブの純正CDIのピン配置であるものとして配線を行ったりしているからだ。
そのため接続を間違ったのか他の要因なのかも判断できず、それ以降心が折れ放置していたが、別件でDIO用に買った中華CDIがDIOには点火時期が合わなかったため、Todayに試しに取り付けてみるとエンジンがかかった。
アイドリングはやたらと高いが安定し、スロットルをひねると吹け上がりも悪くない。
IPOTCH 90CC 100CC 110CC オートバイ ATV ダートバイク適用 4ピン性能 DC CDI イグニッションボックス 黒
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これ。後述するがデメリットの方が多いので取り付けはおすすめしない。
この商品は説明欄に配線図が載っている。非常にありがたいことである。
回路図からまちがいなくDC-CDIであることも判断できる。
これさえわかれば配線はもともと難しいものではない。
VDDを12V、Eをアース、PCにパルス(青黄)を、IGNをイグニッション(黒黄)につなぐだけだ。
当然ながら、カブ系横型エンジンのCDIをtodayに流用するのだからコネクタは合わない。
ワニ口クリップで接続し、ヤバそうなところは養生テープで保護し、電源はとりあえずバッ直。キーオフもキルスイッチも効かない、自動遠心クラッチのためエンストもさせられないアンデッドイグニッション仕様である。
実走
さっそく走ってみると、全域でトルクはだいぶ落ちた感じがある。
加速は遅くなったが走行に問題はない。
長めの直線でフルスロットルにしていると、タコメータは9000rpm付近まで指した。
エンジンのあたりから妙な金属音が聞こえてきたのでそれ以上はやめておいた。
純正CDIのレブリミットは8000rpmくらいらしい。実際に純正CDIで走行してもタコメータは8000を少し超えるくらいでそれ以上は上がらなくなるので一応リミッターカット可能なCDIとして使い物にはなっているようだ。
タコメータは1000円台のものはレビューに飾りにしかならないとかでたらめな表示をするとかよく書かれているが、試しにAmazonで買ったこれは(このセラーから買ったものかどうかは忘れた。いろいろなセラーから同じ(と思われる)ものが売られているので自己責任で)安いわりにAF61と相性がいいのか、回転上昇(エンジン音)に対してリニアなもっともらしい表示をする。実際の回転と表示にオフセットがある可能性はあるが、前回のセッティングに対してどれだけ上がった、下がったか、という比較の基準にはなるので、クラッチシューやウエイトローラを変更するときにも参考になった。
エコなCDI?
CDIが置き換え可能そうなのは上記の人の理論を読めばだいたい予想できたが、それよりも今回のCDIの交換でアイドリング回転数が2000rpm程度から3000rpm強に上がったのが気になる。
変更はCDIだけだから、同じ燃料の量で1.5倍ほども回転数が上がったことになる。
エンジンが止まりさえしなければいいアイドリングの状況においては、純正状態よりもっと少ない燃料でアイドリングが維持できるということではないだろうか。
点火時期の違いによるものなのか、火花が大きくなったのか(火花がでかくなったからといって回転数が上がるのか)?
とりあえずCDIの担う要素でアイドリング回転数に大きな影響を与えることができるようだ。
実際の点火時期を確認しながら実験してみたいが、まずは点火時期を自由に調整できるCDIを作るところから始めなくてはならない。
アイドリング回転数に関してはただの想像だが、わりと面白いと思ったので書いた。