バッテリーレス化で考える、コンデンサに貯められる電気の容量

たまに気になる

あまり乗らない原付のバッテリーがダメになり、ウインカーが点滅しなくなった。そこでジェネレータの補助にコンデンサを入れようと思ったが、コンデンサごときで電球の電力を補えるのか?と半信半疑で13200uFのコンデンサを取り付けてみたら十分とはいえないまでも案外改善したのでちょっと気になった。

以前にも考えたことはあったが出した結論を忘れてしまった。毎回忘れていてはもったいないので書いておく。

なにかの参考にする人がいるとは思えませんが念のため、以降書くことは個人的な考えで、本に載ってたとかそういう話ではないことを注意しておきます。

単位の定義

毎回ファラドってなんだったっけ?とググるところから始まる。

1[F]=1[V]の電位差で1[C]の電荷を貯められる静電容量

するとクーロンってなんだっけ?となるのが自然な流れだ。

1[C]=1[A]の電流が1秒間に運ぶ電荷

つまり

上記の定義から、1[V]の端子間電圧をもつ1[F]のコンデンサは1[As]の容量を持つ。

以上。

とは一筋縄でいかないところがある。

同じ1Fでも電圧が変われば貯められる電荷が変わってくることだ。つまり電圧が高いほど充電容量は上がる。電池は直列につないでも容量の表記は1セル分だ。

 

さらに電池の容量の計算は、あらかじめ定められた電流を、端子間の電圧がこれまたあらかじめ定めた電圧に落ちるまでに流せる電流を充電容量と表記していたと記憶している(例えば定格12Vの電池なら、放電電流1[A]を続けたときに満充電の電圧からある電圧に落ちるまでに流し続けられる時間が10時間だとしたときの容量が10[Ah])。

 

 

電圧と放電量のグラフも、電池はある程度電圧を維持し続け、限界がきたらスッと落ちるような半台形っぽい形となる。

コンデンサの場合、容量を表すFの式は単純にF=C/Vなので、電圧の式に直すとV=F×C、つまり、貯めている電荷が半分になれば電圧も半分になってしまうので、グラフは一直線になる。Wikipediaもそう言っている。

 

なのである程度の電圧をしばらく確保しながら電流を供給するのが仕事の電池と同じ条件を当てはめてしまうと、実用的な容量として勘定に入れられる部分がとても少なくなる。

それでもAhで表記するなら

電圧が何Vであろうが取り出す電流には関係ないので、端子間電圧が10Vになるまで貯めた1Fのコンデンサから1Aの電流を10秒間取り出すことはできる。

ただし、五秒後には電圧は5Vになり、10秒後には電圧は0Vになるが…

 

それでは困るので用途に応じて下限電圧と上限電圧を定めて実用になる電圧の範囲を求める。

それを仮にXとすると、(14Vまで貯めて10Vまで使うならXは4。 バイクの電装に使うなら実用範囲はこれぐらいか?)

 

Ah=F/3600×X (F:コンデンサの静電容量 X:電圧範囲)

これでいいのか?

 

YB-1に4400μFの電解コンデンサを三並列、計13200μFにしたものを接続してみた。

Ah=13200^-6/3600×4≒0.0000147[Ah] 

ピンとこない。そもそも補助してほしいのは発電機の電力の谷だけなので、一時間ものスケールはいらない。

1000rpmでアイドリングするエンジンの発電機が一回転で一周期の波形を出しているとすれば(実際発電機が出す波形はどうなっているのかは知らない)周波数は約17Hz。周期は約0.06秒。

コンデンサが持たせればいいのは電力の山から山までの0.06秒。(発電機の波形とか細かいことは無視)

 

13200^-6/0.06×4=0.88[A]

0.06秒の間に供給できるのは880mA。

なかなかリアルな感じの数字になった。ウインカーの電球は原付なら10W程度で、前後で二個使用している。ただし点滅しているので明滅の比が1:1なら平均10Wか?

12V/10Wなら消費電流は833mAなので足りているようだが、実際にはアイドリング時にウインカーを動作させ続けることはできなかった。

アイドリング時にバイクが発電している電力がウインカーの動作に十分とは限らない。

10Fのコンデンサを接続したところ、十分充電してからウインカーを付け、点滅しなくなるまでに7秒間しか保たなかった。

このことからもアイドリング時には電力が十分でないことがわかる。

Wでの表記

単純にコンデンサを電池代わりに使うなら、電圧が高いほど貯められる容量が多いこと、貯まった電荷に応じて電圧が下がっていくことを考えれば、容量で言うよりも貯められる電力で言ったほうが便利ではないだろうか。

電荷を一定の電流として放出し、電圧が一直線に下がっていくグラフになるなら、電力を表すのはそのグラフの面積。ちょうど三角形の面積を求める計算、底辺×高さ÷2と同じ。

とすると、コンデンサに貯められる電力は、

 W\cdot s=\dfrac{1}{2} \times V \times A\cdot s(ワット秒=電圧×アンペア秒×0.5)

になるっぽい。(22/6/22 改めて見直すと間違っていたみたいなので訂正しました。)

 

調べていて思い出した。

数式用の記号だと静電容量(F)はC、電荷もしくは電気量(C)はQになることと、このくだらない嫌がらせに苦しんだことを。

多少式を書く時間が増えても漢字で静電容量×電気量と書いた方がよっぽどわかりやすい。

この記事の数式内は全部単位に使う文字で書いたことに一層の信念を持った。