マキタ18V互換バッテリーの分解、確認

マキタ風インパクトレンチに付属の18Vバッテリーですが、せっかくなので分解して中身を調査してみました。

 

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マキタの18Vは持っていませんが、14.4Vは持っているので比較してみます。

互換性

14.4V、18V共用のワークライト(ML801)には使用できましたが、

マキタ純正18Vインパクトドライバには取り付けできませんでした。

マキタ風インパクトドライバに付属しているバッテリーというだけで、

互換バッテリーと銘打って売られていたわけではないのであまり互換性を持たせるために手を込んでいないのかもしれません

分解比較

付属の互換バッテリーとマキタの14.4Vバッテリーです。

マキタの18Vは持っていないので比較できません。

白い爪の右側のくぼみは充電時に冷却するための空気吹き込み口ですが、互換バッテリーの方はふさがっていて意味を成していません。

 

バッテリーを分解してみました。

妙に軽かったので実はセルが一層しか入ってなかったりするのでは?と思いましたが
ちゃんと身は詰まっていました。

互換バッテリーの中身

マキタ14.4Vバッテリの中身
マキタ

マキタは各端子ごとの電圧を見ることはできず、右側のバッテリーに見えるピンクの線が直列4セルの中央の電圧を拾っています(前半と後半のそれぞれ7.2Vずつ監視)。黒い線はおそらくサーミスタ、水色の線はバッテリの隙間に挟まった温度ヒューズ?に繋がっています。

黄色のコネクタは充電器との通信コネクタだそうです。

両外側の端子はバッテリのプラスとマイナス、

真ん中左寄りの端子は温度端子で、プラス端子⇔温度センサ⇔温度端子のように、温度センサ(水色の線)を介して接続されています。二つの端子の間はテスターの導通があるので、温度ヒューズだと予想します。

よって、温度端子とマイナス間にはバッテリの端子間電圧がかかっています。

温度端子に加わる電圧が一定以下になると異常とみなすものと思われます。

 

ちなみに、他の人のマキタの18Vバッテリーの分解についての情報を見るところ、セルひとつずつの電圧監視と温度センサによる保護に加え、基板の樹脂コーティングが施してあるようです。

14.4Vバッテリは電圧監視はワンランク簡易にしてあるようです。

互換バッテリー

互換バッテリーの基板にはCM1051というICが載っています。ググったところ2017年設立の中国メーカーによるバッテリ保護用ICのようです。

水色の線と黄色の線が各セルの電圧を拾っています。

基板にくっついているだけで実は配線されていない互換バッテリーもあるようですが、このバッテリーはちゃんと接続されていて、バッテリーのタブとICの2~7番ピンの電圧を測るとそれぞれ3.73Vずつかかっているため、ここまでしてある以上はちゃんと電圧監視を行っていると期待できます。

ただし、純正バッテリーのように温度センサはないようなので、安全性は一歩劣ると言えます。ICには温度検出ピンがあるので、サーミスタのひとつくらい接続すればいいのに、と思いますが、線を繋ぐだけで出来る電圧監視と、新たな素子を用意しなくてはならない温度検知ではコストが大きく違うのでしょう。

充電に関しては、マキタのバッテリーのように黄色の充電器との通信コネクタ?はなく、本来コネクタのある位置にある端子にインパクトレンチに付属の充電用ACアダプタを挿すだけです。そのため、マキタの充電器は使用できません。

付属のACアダプタの出力電流は1Aと記載されており、急速充電はできなさそうなので、高品質でないバッテリーセルにとっては無理やりマキタの充電器を使って充電するよりも都合が良いかもしれません。

ACアダプタの入力はプラスマイナス端子に直結しているわけではなく、ACアダプタのプラスはプラス端子の隣の小さめの端子(マキタでいう温度端子)に接続されています。

互換バッテリーはプラス端子と温度端子の間に導通がなく、マイナスとの間に10Vほどの電圧がかかっています。分解している間はそこまで考えていなかったためどこに接続されているかは調べませんでしたが、制御ICのVMというピンが「負荷/充電器検出回路」だそうなので、ICを介して各セルの電圧バランスを取りながら充電してくれるのかもしれません。

充電電流を大きく取れないのもICを通して充電しているためかもしれません。

そうだとすれば変に互換性を持たせているよりも好感が持てます。

バッテリーは5直列2並列の18Vです。セルには1500mAhと書かれています。外装には書かれていませんでしたが容量は3Ahということになります。

バッテリーの正面には容量インジケーターがあります。拡散用のレンズがあるわけでもなく、LEDが見えるように穴が開いているだけで、ボタンを押すと緑の高輝度LEDが全開で光ってまぶしいです。

基板にはそれぞれ青、緑、橙、赤のLEDをつけるようにと印刷されていますがすべて緑色です。

確かに、容量に応じてどれか一個のLEDが点灯するわけではなくこのように容量に合わせて一つづつ消灯していく動作の場合は同色の方がいいでしょう。

 

ちなみに重量を測ってみましたが、2セル少ない14.4V純正バッテリーに対してわずかに重いだけです。セル一つ一つが少しずつ軽いのでしょうか。

比較的安全な互換バッテリーを選ぶ目安?

互換バッテリーの中にはマキタの充電器を使えるようにしたものもありますが、急速充電はセルへの負担が大きく、バッテリーの火事も充電中が多い印象なので、低価格、低品質のバッテリーに対して行うには不安があります。

そういう観点では、分をわきまえて急速充電をできなくしてある、もしくは、ICを介してバランス充電している可能性のある、

バッテリー充電用にACアダプタが付属していて、マキタ純正充電器は”使えない”

ものが、比較的安全な互換バッテリーかもしれません。