家電三種の神器のひとつである旋盤。我が家の旋盤は一般家庭としては小さいプロクソン マイクロレースPD230である。中古。
これを適当な机に乗せて使っているが、テーブルへの固定を前提としているのか、接地面積が小さい。モータが接地面から張り出しているため重心もずれていてハンドルを早回しすると機械が傾いてしまう。そのため、ハンドルの動作に影響を受けない重量と安定した接地面積を持つ旋盤のベースを作る必要があった。
そして、三種の神器の最後の一つ、フライス盤が揃ったため、溶接機を交えて製缶加工部品の製造が可能になった。その第一号製品として、旋盤ベースを作ってやろうというわけだ。
構想
厚い鉄板を用意して面を出し、タップを立てて旋盤を貼り付けるだけでもいいのだが、
切り子が落ちるように空間の空いた形状にした方がいいかと思った。ちょうど手ごろなH鋼があったのでそれを使うことにした。旋盤の取り付け面はヘッド側と芯押し台側の両端の二面なので、その幅に合わせてフランジにフラットバーを二枚渡して溶接し、そのフラットバーの面をフライスで出すことにした。
フラットバーは4.5mm、H鋼の幅は125mmなので、中央にフラットバーとウェブ面を接続する柱を入れておき、フランジには高ナットを四か所溶接してフットジャッキをねじ込み、レベル調整できるようにする。
溶接
旋盤の取り付け面の幅を測ってH鋼にフラットバーを溶接する。
次に柱の溶接、高ナットの順に溶接していく。
40Aの100V溶接機を使っているが非常に難しい。濡れ性の悪い金属にはんだ付けするときのように部材のどちらかにだけ溶けた溶接棒がのってしまい全然材料同士がくっつかない。
電流が少ないという意見も聞いたが腕の問題もあると思うので何が悪いのかよくわからない。
何度もやり直してようやくくっつけた。連続したビードが引けておらずところどころ空いているが溶接したあとバールで全力でこじっても取れなかったので良しとした。
面出し
CNCフライスで面削りをする。12.5cm×5㎝のフラットバーの表面を二枚分、125㎠の面積を1mm削る。
我が家のCNCでは鉄の切削は厳しいらしく、
まずはΦ5超硬エンドミル、横方向の切込み2.5mm、Z軸切込み0.1mm、
S6000、F280くらい(うろおぼえ)ダウンカットで加工を開始したが、
削りはじめから工具がビビり、送りや回転を下げてみたりしたがどんどん音が悪くなっていき、最終的には削れなくなってワークの上を滑っていたので加工をやめた。
底刃がものすごく摩耗している。
次にΦ2超硬エンドミルを使い、Gコードを見ると横方向の切込み1mm、Z軸切込み0.1mm、S15000、F600、ダウンカットで加工してみた。
何を考えていたのか覚えていないが切削速度がやたらに速い。メーカーの切削条件表よりも早い。
おそらくその場の音の具合とかでなんとなくオーバーライドをいじったりしているはずだが、これは後半音が若干嫌な感じになりつつもどうにか削り終えることができた。
削る面積が少なめな設計でよかった。
仕上がり
スケールを当てて裏から照らすと中央部は面が下がっており、光が通ってしまった。
シムを差し込むと0.03mm程度のようだ。
そのことをツイートしたら、知らないヤツからリツイートだけされた。
しょせんはCNC"ルーター"ということか… pic.twitter.com/RIWExzihKR
— drops (@drops662) August 4, 2019
リツイートのみ=晒し上げられているだろうと予想がついたので、そいつのタイムラインを見てみたら案の定見当違いに批判されていた。
塗装
削り面をマスキングし、ミッチャクロンを吹いた後アクリルラッカーを吹いた。
垂れたがまあいい。
取り付け
現物合わせでポンチを打ちタップを立ててボルト留め。
ハンドルを回しても機械はズレなくなったがテーブルが貧弱なためテーブルの足が揺れだした。
あとハンドルを回すとき下死点でまごつく感じ、体がデカくなってから三輪車をこぐようなあの感じがやはりあり、送りのムラになっているので、背が高くなった分ハンドルのクランクを伸ばすエクステンションを作ると良いかもしれない。