中国製インパクトレンチについて

タイヤ交換を毎年10台分しなくてはならないのですが、それなりに面倒です。

その他バイクのセンターナットを外すのに手こずったり、何かと必要になることもあります。

とはいえコンスタントに用事があるわけではないので一流メーカーのものを買うほどでもありません。というわけでAliExpressでマキタ風インパクトレンチを買いました。

s.click.aliexpress.comこの商品です。約5200円でした。

本体とバッテリー1個のセットです。

充電器は据え置きタイプとACアダプタタイプの二種類が選べます。

ACアダプタはどう使うのかわかりませんでしたがマキタの充電器を持っているため、

最悪使わなくてもいいやと思っていくぶん安いこちらを買いました。

 

安さがもちろん一番の決め手ですが、この手の中国製インパクトレンチは六角軸のビットが取り付けられるのがいいところでインパクトドライバーがわりにもなるので、レンチとしてのみでは使用頻度の少ないアマチュアユーザーにとって出番が増やせます。

 

耐久性は不明ですが、使用頻度が少ないだけに一定水準を超えてさえいればそこまで問題にはならないでしょう。

本物より回転数のコントロールが粗いなどもあるようですがそれも別に実用上の問題があるとは思えません。

いまのところデメリットになりそうなのはバッテリーの安全性くらいでしょうか。

と思っていましたが、ホイールナットは緩められるものの打撃力が18Vインパクトドライバよりもだいぶ小さいことが後日わかったので、トルクは14.4V以上18V以下な激安で性能はそれなりのインパクトレンチ兼ドライバくらいのポジションと捉えておいたほうがよさそうです。

 

本体について

外観

並べるとどうかわかりませんが、デザインが丸パクリでシルエットがイメージを底上げしてくれているせいか、単品で見ればそこまで安っぽい感じはありません。

バッテリーは商品写真とは違う外装です。類似の商品も結構バリエーションに富んでいますが、中身もそれぞれ違うのでしょうか。

充電

付属のバッテリーには付属のACアダプタでしか充電できません。

マキタの充電器は14.4Vのツールに付属のものでも18Vバッテリーの充電は可能なため、それで充電しようと思っていましたが、本来充電器との通信コネクタのある位置が埋まっていてそこにコネクタがあるため、充電器側のコネクタと干渉して充電器に接続できませんでした。

ACアダプタの出力は21V1Aと記載されていて、充電時間はそれなりにかかりそうです。

ビット、ソケットの取り付け

まだインパクト用ソケットは持っていないのでハンドツール用のソケットと、6.35mm六角軸のビットを取り付けてみました。

結構穴が深いので、インパクト用のビットでなければ埋まって取れなくなってしまう可能性があります。

アクセサリー取り付け

フックなどのアクセサリー取り付け部は左右にありますが、固定の裏ナットは取り付けられていないので用意する必要があります。ナットがはまる溝は開いているので普通のM4ナットがちょうどはまります。

なぜかボルト穴は左にしか空いていません。自分で開ければ使えると思います。

 

試しに14.4Vバッテリーを取り付けてみましたが動作は可能でした。

当然ながら全開で空回ししたときの無負荷回転数は落ちるので、打撃時のトルクも落ちるでしょう。

バッテリーについて

電動工具のバッテリーは安全性に問題があることが多いらしく、たまに燃えたという人も見るので、せっかくなので分解してどういう構造なのか確認してみました。

結構ボリュームがあったため以下の記事に分けています。

drops662.hatenablog.com

使用

動作

正転時は速度調整ができ、グリップ下のスイッチで三段階のパワー調整ができます。

逆転時は速度調整が効かず、即最高速で回転します。スイッチでの設定で一定時間で停止するモードと無限回転するモードに切り替えられます。

14.4Vインパクトと比較しましたが、パチモンの方は速度上昇が段階的な感じがありますが、純正の方がやはり回転は滑らかで、まさに無段階です。

 

木ネジの入れ初めは極低速でカムアウトやネジの傾きを防ぎつつ入れていくので、この辺での使用感は違いが出てきそうです。

ホイールナットのつけ外しなどにはそこまで低速域は必要なさそうな気はします。

ホイール交換

スタッドレスへの交換で使ってみました。

100N・mで締めて夏の間を乗り切ったホイールを中国製インパクトソケットで緩めました。

フル充電したレンチで逆転全開をかけると、2秒間くらい打撃が続いたあたりでようやく緩みます。

とりあえず2台分は交換できましたが、感覚的にはなかなかトルクが苦しそうです。

純正品はどうなんでしょうか。

この調子ではガチガチに締められていたりするとなかなか緩まない気がします。

また、原付のリアホイールなど、固着しかかった大きめのナットも緩めたかったので大きめのソケットも入ったソケットセットを買ったのですが、レンチの能力に不安があります。

23/03/22追記

マキタ純正の18Vインパクドライバ(ちょっと古めのブラシモータのもの)を借りる機会があったので使い比べてみて仰天しました。

6.35mm軸の19mmソケットを付けたマキタのインパクトドライバは、一瞬の打撃の直後に緩めるのに対し、

このパチモンインパクトレンチはやはり2秒間ほど打撃を続けてようやく緩められます。

パチモンで一本緩めている間にマキタ純正は四本緩め終わるくらいの速度差があります。

曲がりなりにもレンチの名前を冠する道具がドライバにナット緩め勝負を仕掛けて敗北するようでは形無しです。

工具の特性としてインパクトドライバよりもインパクトレンチの方が打撃力を高めに設計されていると思っていたので、純正インパクトレンチに勝てないのは当然としても、純正インパクトドライバが相手なら張り合えるかな?と思っていたのですが圧倒的な性能差でした。

マキタの方も互換バッテリーを付けており、バッテリーの違いかなと思ってインパクトレンチのバッテリーを入れ換えてみましたが何も変わりませんでした。

(純正インパクトドライバにこのレンチのバッテリーは取り付け不可でした)

14.4Vインパクトドライバしか持っておらず、それよりは多少緩めトルクがあるので幸い存在意義が見いだせますが、すでに18Vのインパクトドライバを持っているなら下位互換でしかありません。

コーススレッドの締付け

2×4材にφ4.5、軸径φ3、長さ75mmの全ねじコーススレッドを打ち込んで、マキタの14.4Vインパクトと比較してみましたが、

マキタの14.4Vは10ミリほど入ったあたりから打撃が始まるのに対して、中華インパクトはねじ込み終わりまでトルクだけでねじ込むことができ、頭がめり込むときに一発打撃が始まる程度で、パワーの違いは大きいです。

作業しやすい姿勢なら低速コントロールの悪さもあまり気になりませんでした。

しかし、ビットの固定が中華インパクトは磁石での保持なので、ビットの精度がいいほどビスとビットが食いつき、工具を持ち上げるとビットがビス側に残ってしまいます。

本数が多かったり、ビットが落下して拾わなければならなくなるとイライラしそうです。ビットならまだ指で引っ張れば取れますが、ドリルは材料から抜くのが面倒なので使わないほうがいいでしょう。