KDXでジムカーナの練習会に参加してきました。面白かったですが現在のタイヤは古いブロックタイヤ(前D604 後D603)なせいかよく滑り、安心感があまりありませんでした。
車両も借りることができるライディングスクールでも似たようなことをしましたが、そのときはタイヤのおかげか車種のおかげか、すごい安定感があったので、その感覚との差が埋められるのか気になり、オンロードタイヤを履いてみたくなりました。
始めはKDXの純正ホイールを買い増してオンロードタイヤを履かせるつもりでしたが、調べているうちにどうせなら17インチにしてみるかという考えになってきて、実際にやっている人のブログなども見つかったのでそうすることにしました。
KDX,KLX,Dトラッカーのハブはどれもほとんど互換性があるそうです。
ということでDトラッカーのホイール前後をヤフオクで落札しました。
取り付け作業とトラブルシューティングについて書いていきます。
変更作業
メーターギヤまわりの干渉
幅
Dトラッカーのスピードメーターの回転取り出し部の大きさはKDXよりも小さいです。(年式によって違うらしい?)
メータギヤのハウジング自体の厚みは同じですが、メータギヤの出っ張りが干渉してしまい、ハウジングのボスの端面とベアリングの端面が当たりません。
そのため、メーターギヤ自体を外す必要があり、外すには軸用のスナップリングプライヤーが必要になります。
ギヤを外してしまえばただのスペーサと同じです。
「ハブの幅が同じらしい」という前情報は正しかったらしく、きれいに収まりました。
このままではメーターが動かないので、車検がないとはいえ、公道を走るには速度が読み取れるようにしておかなければなりません。
GPSメーターあたりを付けるのが一番簡単ですが、メーターギヤの形状がシンプルだったので、Dトラホイールに合わせたものを3Dプリンタで作ってみました。
材質はPETGです。3DプリンタでポピュラーなPLAよりは強度があり、劣化しにくいとのことです。
耐久性は低いでしょうが、走行中に割れたりしても事故にはならない部品なので試してみます。
数キロ走ってみましたが、帰宅するまで不具合もなく(誤差以外は)メーターが動作しました。ある程度の距離を走った頃合いで外して異常の有無や消耗度合いを確認してみることにします。
誤差を計算して目盛を貼り付ければ一応クリアです。(ちゃんと読み取れるならシールなどでもいいらしい)
100km以上は確実に走ったので、一度外して確認しました。
歯面の3Dプリンタの積層の目が全くつぶれずに残っています。
ちょこちょこオフホイールに戻すこともあるので、そのときに確認、交換するくらいの間は十分持ちそうです。
ABSがあればそれで作ることでさらに安心できそうです。
22/9/21追記
さらに300㎞以上は確実に走ったはずなので、また確認しました。
外すとハブと噛み合う耳の部分が傾いています。
削れたりはしていないので、何が起こったのかはわかりませんが、連続走行で多少熱を持って柔らかくなったところにハブからの力が加わったことでハブから逃げるように変形したのでしょうか。この状態でもメーターの表示に異常はありませんでした。
耳とギヤの間の空間は空きスペースなので、耳の裏に面取りやリブを追加することができます。そうすれば十分変形に耐え、さらなる耐久性を持たせられるでしょう。
ギヤの歯面は相変わらず何のダメージもなく、積層目がそのまま残っています。歯面の方が先にダメになると思っていたので幸いでした。歯面は形状の工夫では強化できないので。
内径面の油溝も残っており、軸との遊びにも異常は感じられなかったので、前述のとおり耳のところの改良だけで相当もちそうです。
シールのすきま
メーターギヤのハウジングにはシールがはまっており、ハブの回転取り出し部外面と接触してゴミの侵入を防いでいるようですが、前述のとおりこの部分の径はKDXよりも小さいためすきまがあります。ベアリング自体にもシールはあるし、多少砂が入っても直ちに問題はないと思いますがこの状態で洗車したり、水たまりや砂地をバンバン走るのはやめた方が良さそうです。
土砂降りの中を走ったあとにメーターギヤを確認したら水が数滴分入っていました。
ハブに外径の差を埋めるリングなどを自作してはめ込み、シールとの接触を確保するのが良いかもしれません。
キャリパーとロ―ターのオフセットについて
ホイールをフォークの間に収めようとすると、ブレーキパッドとディスクが妙にひっかかるので、ベアリングの内輪の端面とブレーキロ―タ面までを計測したところ、フロントブレーキロ―ターがKDXのホイールよりも7mm程度引っ込んでいました。
キャリパーのスライド量では吸収しきれないズレです。厳密にはスライド量は足りていますが、通常キャリパーブラケットに保持されているピストン側のパッドが押し出され過ぎて外れてしまいます。
キャリパーブラケット自体をオフセットするか、ブレーキローターをオフセットする必要があります。
M8ワッシャ二枚(1.6×2)をフロントフォークとブレーキブラケットの間に挟んでキャリパーを内側にずらすことで解決しました。
ボルトにかかる荷重はキャリパーの構造から考えるとほとんど剪断力だと思うので、3mm程度オフセットしたところで問題にはならないと考えます。
7mmのずれに対して3mmのかさ上げは少し足りない気がしますが、パッドがそれなりに減っているおかげもあるのか、なんとかなりました。
取り付け時にはピストンを引っ込めて、キャリパーを手で押し引きし、スライド量の余裕が確保されていることを確認しています。
ただし、パッドを新品にしたらスライド量の余裕が減るので、かさ上げ量をもう少し増やさなくてはいけないかもしれません。
ワッシャーは入れたままオンタイヤ、オフタイヤの切り替えができればよかったのですが、純正ホイールに戻したときブレーキロ―ターとキャリパーブラケットが擦れてしまいました。
やはりブレーキ周りはノータッチというわけにはいかなそうなので、可能ならブレーキローターをオフセットした方がキャリパーをいじらなくてよくなり、手間を減らせます。
スプロケットの番手はどちらも520なのでホイールについているものがそのまま使えます。
どちらも純正歯数で、KDXは45T、Dトラは39Tでした。
タイヤ外径がKDXは663mm、Dトラは626mmです。
Dトラホイールにすると二次減速比のハイギヤ化とタイヤ外径によるローギヤ化を差し引き、トータルで8%程度ハイギヤードになります。
これだけ歯数の差があるとチェーンの長さが変わりすぎるため、チェーンを二本用意して毎回掛け変えなくてはいけません。
オンオフでリアスプロケットサイズを合わせておけば、チェーンを掛け変えなくていいため交換の手間をさらに減らせます。
チェーンの長さ
Dトラッカーのチェーンは標準104リンクです。
リアホイールを買ったときにDトラ用チェーンがついてきましたが104リンクでは長さがわずかに足りず、使えませんでした。
KDXホイールで使っていたDIDのチェーンは標準リンク数の110リンクでしたがわずかに長く、テンショナーの調整量で吸収できないレベルでたるんでしまうため使えませんでした。
仕方ないのでチェーンを新しく買うことにしましたが、あまり上等なチェーンを買うと金額もそれなりにしてしまうので、試しに中国製?の安いゴールドチェーンを買ってみました。
リンク数は108リンクにしました。
チェーンのレビューについては文章量がそれなりになったので別記事にしました。
要点だけ言うと、DIDに対してSFRはチェーン自体の重量が断然重く、お金があるならDIDの方が良いです。
drops662.hatenablog.com
リアタイヤとチェーンガードの干渉
リアタイヤは140mm幅のものでした。Dトラッカー250の純正リアタイヤ幅は130らしいのでその場合だったら問題にはならなかったかもしれませんが、チェーンカバーとタイヤがわずかに擦れます。テンショナーの位置によっても擦れ具合は変わるようです。
これもワッシャーか何かを噛ましてオフセットしようと思いましたがタイヤから逃げる方向ではなかったため断念し、ひとまずチェーンカバーそのものを外しました。
22/9/21追記
IRC RX-02R(130/70-17)に履き替え、チェーンカバーを取り付けました。
ギリギリですが干渉はありません。チェーンカバーやそのボルトと新品タイヤのひげが触れるレベルの距離です。(5mmくらい?)
わかりにくい写真ですが。ひげが倒れているのが確認できると思います。
走行中にタイヤやホイールがどれだけひずむのかわかりませんが、もしかしたら接触するかもしれません。
サイドスタンドの長さ
タイヤが小さくなるので、当然サイドスタンドの長さが余ります。
ホイールを買ったとき、Dトラッカー純正サイドスタンドも付いていたので使えるかもと期待していましたが、取り付けはできるのですがスタンドを出したときの角度が合わず使えませんでした。
KDXのサイドスタンドでも一応自立しますが、ほぼ車体が垂直になるのですぐに倒れそうです。KDXのスタンドを切り詰めている人もいましたが、純正部品はもう廃盤だろうからできるだけ改造したくないなということ、ホイールを変えるたびにスタンドを交換するのは面倒だということで全長が変えられるようなスタンドを自作します。
Dトラッカーのサイドスタンドは曲げパイプで取り付け部にも角度がついているので作るのが難しそうですが、KDXはほぼまっすぐなので比較的簡単です。
外したサイドスタンドから寸法を取り、
・4.5mmフラットバー
・9mmの鉄片
・丸パイプ
・M16寸切ボルト、ナット
の材料を溶接して作りました。
純正スタンドはM10細目ネジそのものを軸として使っていましたが、細目のタップを用意するのはコスト的に避けたいので、M8のストリッパボルトを使います。
胴部は10mmなのでちゃんと円筒面を回転軸にできるし、M10並目ボルトを軸代わりにするよりネジ山数が確保できます。
先端にナットを溶接してあるため、M16ボルトの出し入れで全長を調整できます。
また、純正スタンドで未舗装路に停車するとスタンドがめり込んで倒れることがあったため、足の面積を少しだけ大きくしておきました。
ちょっとパイプ部を長く作りすぎたため、17インチ時はめいっぱいネジ込んでやっと停車時の車体の角度が確保できるかな...という感じですが使用に問題はありません。
副次的な効果ですが、純正スタンドよりも軽量化できました。(750g→500g)
強度はその分落ちると思いますが使ってみて具合を確認します。
フロントフェンダーはKDX純正だと幅が広くて大きすぎ、アンバランスになってしまうため交換しました。初めの写真も付いているものが交換後のフェンダーです。Aliexpressで3200円弱だったものを買いました。
オフロードバイクの形状はどれも大して変わらないだろうと思って商品説明から読みとれるわずかな寸法だけを頼りに買いましたがわりと馴染んでいると思います。
ただし、取り付け穴は開け直す必要があります。
ここぞとばかりにリンクを貼ろうと思いましたがすでに利用不可になっていました。
直線でそれなりのスピード(新東名くらい)を出すとハンドルが振られることがあります。フェンダーのせいと決まったわけではないですが、安いせいか結構やわらかいので、風でよれてハンドルに力を加えている可能性があります。
お金があれば純正流用する方がいいでしょう。
セローのフロントフェンダーとかは後ろ半分がタイヤに寄せてあって空気の影響を軽減できるらしいです。
モタード化の結果
転がり抵抗の減少
タイヤの凹凸がなくなったおかげで、だいぶ転がり抵抗がなくなった感じがします。
取り回しはスムーズになり、走行中の後輪からのタイヤノイズがなくなりました。
惰走距離やパワーロスについては違いがわかりませんが、タイヤ径ダウンとスプロケ歯数アップによって差し引き1割弱ハイギヤードになったわりにあまりパワー感に違和感がないのは、トルクの減少分をロス減少で相殺できているおかげかもしれません。
フロントの切れ込み?
街乗り程度では問題は出ませんでしたが、小回りの練習をしていると、ある程度バンク角とハンドルの角度がついたあたりから、急にハンドルが引っ張られたように切れ込もうとするのに気づきました。
ハンドルを抑え込んで何とか走りましたが、ハンドルの切れ込みを感じてから力を入れるタイムラグがどうしてもあるのでハンドルがぶれてギクシャクします。
すでにKDXを17インチ化した人のブログにも同様の問題が発生したとの記載があったおかげでそれだとわかりましたが、事前情報がなければ何が悪いのかわからずに失敗だったと結論付けていたかもしれません。
少しのことにも先達がいると助かります。
リアを若干低くすることで解決するそうなので、リンクプレートがあれば解決できそうです。が、リンクプレートを変えてしまうと車高が落ちてしまい、スイングアーム角も変わってサスペンションのバランスへの影響が大きそうです。
フロントホイールのインチダウンのせいで下がってしまった車高を、できるだけ戻す方向にセッティングするほうが純正のバランスに近付いて好ましい気がするため、まずはそこから試したいと思います。
ホイールを買ったときについてきたタイヤは前輪に110/70-17(592)、後輪に140/70-17(626)を履いています。(カッコ内は外径カタログ値)
Dトラの純正タイヤは110/70-17(592)、後輪は130/70-17(615)です。
これを前輪110/80-17(614)、後輪130/70-17(615)まで変えることで前輪を16.5mm持ち上げたのと同じだけ後傾させることができ、キャスター角0.7°に相当し、トレールも10mmほど伸びるので、少しは変わるかもしれません。
前後ともタイヤの標準リム幅を外すことになってしまいますが、純正のDトラッカーXの後輪は4インチのリムに標準リムが3.5インチの130/70-17のRX-01が組まれています。
つまり、純正の時点で適正リム通りに組み合わせてはいないということです。メーカーがやっているのであれば、大した問題はないということだろうと期待できます。
RX-02 F:110/70-17(592)、R:140/70-17(626)
買ったホイールに中古でついてきた2分山ぐらいのRX-02ですが、一回目の練習ではスラロームなどでコーナリング中常にハンドルが引っ張られているような感覚がありましたが、
同じタイヤで数か月後に二回目の練習をしたときはあまり上記のような感覚はありませんでした。
単純に乗り方の都合だったのか、タイヤの減り方の問題だったのかはわかりません。
RX-02 F:110/80-17(614)、R:130/70-17(615)
その後、新品のRX-02に履き替えました。
KDXに履けそうな17インチタイヤでほかの銘柄だとフロント80扁平はあまりなく、
リヤもむやみに細くしたくないので、これが17インチで実現できるフロント最大、リア最小になりそうです。
同様に練習会で小回りをやってみたりしましたが、新品な分グリップは安心できる気がしましたが、ハンドリングは変わった感じはありませんでした。
タイヤを見ずに乗れば履き替えたことに気づかない自信があります。
切れ込みは完全になくなるわけでもなく、1回転などでハンドルをロック手前まで切ったときにはガクッとハンドルが引っ張られるような感覚はありました。
結局よくわからないので、大きな不都合が見つからない限りはいろいろなタイヤを試してみようと思います。