玉切り台を作る

 

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ウマ

チェーンソーを使うとき、ウマがあるとワークが安定し、細い木もまとめて切ることができるため能率が大きく変わってくるらしい。

特に細い木を一度に切れるというのは斧で何等分にもできるような玉がなく、枝ばかりのうちの状況には必要性が高い気がする。

 

棚の余りの材料があるのでそれを使って作ることにした。

 

作り方というほどのものはないが、

先人の写真を見た感じはバッテンに組んだ木三つを梁で繋いでいるだけのように見える。

45*36の垂木で作るのは細くていささか頼りないが、壊れたならまた作り直そう。

 

いつもぶっつけで作って不具合が見つかり、応急的な手直しをしてなんとか形にするという自分のやり方に自分の能力に一抹の不安を覚えていたのできっちりプランを立て、それ通りにやったら工程に過不足なく要求通りのものが出来上がる、という実績が欲しかったのでマジメに考えよう。

 

と思ったが今日は平日の仕事終わり。設計に時間をかけていたら今日中にモノが出来上がらない。時間をかけてきっちりやりたいという思いもあるものの、大学生時代と比べて壊滅的に自由時間がなくなった今、やりたいことを仕事中に思いついてタスクリストのアプリに追加し続けた挙句、たまりにたまって精神を圧迫しているので片づけられることはとっとと捌きたいという思いが拮抗しているのである。

今回は(今回も)後者が勝った。

 

とりあえず構造は三つのバッテンを横木で繋ぐ、というのは分かったのでとくに工夫もせずそれを踏襲する。

 設計

自身の身長、ワークのサイズなどから鑑みて、チェーンソー学的(?)な観点から生産性を最大化する仕様を考えるべきだ。そして端材が足りるサイズであることも忘れてはいけない。

高さは、背筋を伸ばして切れれば腰は楽そうだが木を持ち上げるのが大変なので結局腰は辛そうだ。それにあまり高いと胴体に切り子を浴びる。

そもそもチェーンソーの使用が楽な姿勢を知らないので考えてもしょうがない。

特に理由はなく700mmくらいに切ってバッテンを組むことにした。

 

バッテンの幅はある程度決められる。薪を二点で以上で支持してはみ出た分を切り落とすという使い方をしていったとき、二つのバッテン間の幅が残材の長さとなるため、300mm以内にしておけば最後の450~550などの中途半端な長さが残ったときに100mm程度はみ出た分を切り落とせば残った残材を300mmにできる。

 

加工

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切って並べたと同時にうんざりした。

材の太さが違う。45*36と40*30の垂木をとりあわせてしまった。

色が明らかに違うが、古いものから消費しようとして時間経過による色の変化と思って気にしなかった。

太さを合わせてもう二本切ろうかと思ったが調整すれば使用には問題はないのでこのまま使うことにした。

 

気を取り直してバッテンを組む。角度は45度ではあまり美しくないので適当に・・・と思ったが正確に三つを同じ角度で位置決めすることは容易ではないことに気づいた。

 

分度器で線を引いてそれに沿わせるか?

効果的そうだが分度器をどこにしまったか忘れてしまった。

分度器、義務教育でだれもが手にする道具のわりに残している人は少ない気がする。

無いと案外代用になるものがない道具の一つだ。

家にあるもので代用になりそうなのは角度を変えられる卓上丸鋸しかなかった。

それで組みたい角度に切った木のブロックを作れば冶具になるか?

いやそれでは冶具と垂木をガッチリ固定できないから結局ずれそうだ。

 

時間はジリジリとなくなっていく。結局最もユニバーサルな道具を使って作ることになった。

適当なところに”目視”でいい感じの角度に組んだ二本の垂木を”指”で押さえつけ、ペンで角度を写し取るのだ。

あとは定規で端面から引いた線までの距離を測り、残りの垂木にコピーする。

 

二本の垂木が重なる部分にコーススレッドを打って…と思ったがそこそこ重いものが載り、バッテンが開こうとするトルクを受ける必要があるため、コーススレッドは二本以上打つ必要がある。

材の細さゆえにあまりコーススレッド間の幅を確保できないし、せっかくだから木を組むことにした。トルクがかかるこの場合には合理的な構造だと思う。

それに、木を切ってビスを打つだけという製造方法にマンネリ感が出てきたところだ。

垂木同士を組む溝を作る。

DIYが題材の漫画で丸鋸で溝を複数入れると簡単に溝が作れるというのを見たのでまねしてみることにした。

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材料の幅の半分を少し超えるくらいに刃を出して固定する。

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適当に溝を入れる。ここから刃物で削り取っていこうかと思ったが、

何気なくドライバーを差し込んでこじったらカットされたメロンのようにポキッと列ごとに取れた。

 

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 組み立て

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組み立ててみた。折り取っただけなので溝の底面に凹凸があり、ツラにならなかったが

時間も遅くなったのでまあいいやと組み立ててしまった。

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 なるべく真ん中で支えたほうがいいかなと中心寄りに横木を渡して

完成とし、その日は作業を終了したが、仕事中に考えていると、

アレッ、これだったらバッテンの間を切る必要が出たとき、チェーンソーを下ろしたら

真っ二つになるのではないか?と思い始めた。

はみ出た分を切るのが前提ではあるが特段の意味もなく使い方が制限されるのは面白くない。

 

結局突貫で作った挙句使う前から問題が見つかり、次の日に直すことになった。

とはいえ、使ったこともない道具を初めて作っているわけなので、二日に分けて作業すればしなくてよかった修正なのか?といえばそうでもないだろうし、一回出来上がりを確認してからのほうが効率よく改善できるということもあるかもしれない。

完成

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修正後。

カメラのホワイトバランスのせいか、横木を二本にしたせいか、とても写りがよく見える気がする。

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 荷台用のゴムがかけられて便利。

懸念していた材料の細さも全く問題なく、しっかりしているのでおおむねうまくいったと言えよう。