ChinaCNCZone CNC6040Zを買った話

買ってしまった

購入の決断をするまで、クレジットカードの決済画面で指が動かなくなり諦めること2回、その間もCNCによってもたらされるメリットを列挙(とくに思いつかなかったが)するなど、数週間の暖機時間を経て、ついに決済してしまった。

後日知った、OMIO CNCという銘柄のCNCがこれよりは多少高価格ではあるものの、どう考えてもこれよりコスパがいいです。

直動案内がリニアブッシュかリニアガイドかの違いはおそらくめちゃくちゃでかい。

購入したのはAliexpressで、ChinaCNCZoneというセラーの6040Zと呼ばれるCNCだ。

6040Zとだけ検索するといろいろなセラーから似たような構成の商品がヒットするが、価格差は最安と最高で二倍以上の差がある。

このセラーの物は中でも比較的高価格をつけている。

 

このCNCの主要なスペックは、

主軸:ER20コレットチャック 水冷1.5kw(110V) 2.2kw(220V)インバータモータ

テーブル軸:リニアシャフト&ブッシュ、1605ボールねじ

軸可動範囲:580*400*105

制御装置:USB接続

その他:原点センサ、工具高さ検出冶具、A軸ロータリーチャックなど

 

商品一覧を見るとどれも同じように見えるが、フレーム、ガイド、送りねじはだいたい同じなようだが、細かいところがちょこっと違ってくる。

・四軸か三軸か

三軸のものはロータリーチャックがついてこない。制御ボックスのポート数も変わるようなのであとから増やすというわけにはいかない。

 

コレットサイズ

とくに気にしないが、安いものほどER11だったり、小さくなる傾向があるように思う。ER20はChinaCNCZoneの販売するコレットセットの場合最大シャンク径13mmまでコレット上端が相当薄くなるので13mmが上限だろう。ER11は7mm。(たぶん)

・主軸モータ

300Wくらいのものから、日本のコンセントで取れる出力としては最大であろう1.5kwのモータまで幅広い。

・Z軸可動範囲

微妙に違う。80~100mmくらいの幅

・制御ボックスの通信方式

パラレルだったりUSBだったり。Mach3はデスクトップPCかつオンボードのパラレルポートでないと動作しないだとかなのでPCの調達も考えてUSBで接続したい。

・ロータリーチャックのサイズ

これ以外のセラーの物は結構小さい。

 ・原点センサの有無

商品説明でウリにしていたのでついている方が珍しいのかもしれない。

改めて制御ボックスを見比べると原点センサの存在を謳っていない商品はそもそも外部入力のポートがないようにも見える。

 

これらの装備が必要かどうか、装備に対するコストパフォーマンスは不明だが、仕様が豪華になっているのは間違いないし、極端に安いよりも高価格な分部品の質が良かったり管理がしっかりしているということもありそうだ。レビューの数も多い。

一番怖いのはガラクタを掴まされることで、その点レビューが多いのは安心だ。

そもそも国内メーカーのものよりは断然安いので比較的高価格でもいいか、とこれを選んだ。

到着

到着はこのでかいものを海外から発送したとしては思いのほか速く、二週間で手元に来た。

送料無料を謳ってあったにもかかわらず、配達員が”代金引換”と称して13000円を要求してきたのが引っかかるが…関税だったりするのかな?

と思って後で調べると、関税が商品の引き渡し時に請求されることはあるそうだ。配達員はよくわからないので代引きだと言ってくることがあるらしい。

 

段ボールは玄関においていってくれたが、いざ自分で持ちあげようとしても全く持ち上がらない。

仕方ないのでその場で開封した。段ボールは土台兼テーブルと、門型フレームその他で分けられていた。

 

開封

まず箱を開けると主軸モータのブラケットが見えた。でかい。

φ80。

 

f:id:drops662:20180920214621j:plain

これはいくつか中身を抜いた後の写真だが、梱包はそれなりにしっかりしている。どちらの箱も六面を厚さ30mm弱のスポンジで囲った中に入れてあり、一緒に入れてあるそれぞれの部品との間にも同じようにスポンジが挟んである。

門型フレームは柱となる板の端面を下向きに入れてあったため、スポンジにだいぶめり込んでいたが。ピンポイントで衝撃を受けたら安全とは言えない。

家電やゲーム機のような梱包を思い出すと商品価格の割には不十分と言うべきかもしれない。

f:id:drops662:20180920213953j:plain

中身を取り出して並べた。

送りねじなどは組み立て済みだった。

f:id:drops662:20180921233358j:plain

テーブル。740mm×480mm。でかい。

可動範囲は580mm×400mmだが、可動範囲外にもT溝が続いているというのは材料のクランプを可動範囲外でもできる(絶対にクランプと工具が衝突せず、可動範囲全域を加工範囲にできる)ということである。国内メーカーのCNCを使ったとき、テーブルサイズ=可動範囲だったのでその方法でクランプできず、少し不便に思うことがあったのでこれは便利かもしれない。

f:id:drops662:20180922001914j:plain

リニアシャフト。Y軸のみ半円型リニアブッシュを使っていて、シャフトが全長にわたってフレームと接触しているのでフレームに荷重を逃がすことができるので両端支持ばり状態にならず比較的たわみにくいと思われる(実際どれくらい違うかは知らない)。

 

 

リニアブッシュが固定されているプレートは妙に頼りない気がするが…?

f:id:drops662:20180920213640j:plain

主軸モータ。でかい。

f:id:drops662:20180920221224j:plain

主軸はER20のコレットチャック。13mmまでチャックできるようだ。

f:id:drops662:20180920214406j:plain

 四軸のセットなのでロータリーチャックがついてくる。でかい。

f:id:drops662:20180920221015j:plain

手持ちのマイクロ旋盤のチャックよりも遥かにでかかった。

サイズがでかいのはいいが、ベアリングの外輪がはまる穴の加工精度が甘く、チャックがガタガタ動く。0.5mmくらい。

これについては品質は良くないと言わざるを得ない。

 ガタをなくすため外輪とハウジングの間にシムを入れようと、反対側のプーリを外してチャックを抜こうとしたがシャフトがカシメとしまりばめの合わせ技で外せなかった。

あきらめてもう一度プーリを叩いてはめ込み直したところ、なぜかガタがなくなった。

ハウジングが軽くテーパになっていて、はめ直したことで初めより深く押し込まれて外輪とハウジングがぴったりはまったのか、理由はわからないがとりあえずよかった。

 

 チャックはステッピングモータとの間のタイミングベルトで駆動されるが、タイミングベルトのテンショナーがなく、ベルトのたるみ分回転方向に少し遊びがある。これは木工用と割り切るべきで精度や剛性を期待する方が間違いなのかもしれない。

ステッピングモータの取り付けのバカ穴の遊び分で軸間を広げればそこそこ張れたので良しとする。

 

 

f:id:drops662:20180920220802j:plain

モータは水冷だったので、ウォーターポンプが付属してきた。ラジエータがないぞと思ったが、ラジエータは構成しないのがスタンダードらしく、マニュアルにはバケツ、ポンプ、モータの回路構成で紹介されている。

モータは1.5kwの出力だそうだが、それが本当だったら何時間も動かしていたら沸いてしまいそうだ。

実際に長時間の加工で水がどれくらい温まるか見てから考える。

f:id:drops662:20180920220903j:plain

 ステッピングモータ。サイズは□52×75mm。4線のもの。

そのほか、1/8シャンクの(コレットにそう書いてある。インチか?)二枚刃のエンドミルが一本、彫刻用のビットが三種類、Φ5のエンドミルが一本、交換用のマイクロスイッチ

f:id:drops662:20180923021216j:plain f:id:drops662:20180923021209j:plain

クランプが四つ、チャックを回すためのスパナ二本(サイズは30-27と21-18。でかい!)

f:id:drops662:20180923021642j:plain

工具先端の検出用の治具などが付属した。

組み立て

f:id:drops662:20180922005102j:plain

 組み立てる。

といってもテーブルと門型フレームを固定してモータを取り付けるだけだ。と思ったらY軸のベースに取り付けられたアングルが引っかかって入らない。

アングルはねじ止めなのでネジ穴に余裕があってずらすことができれば取り付けはできそうだが、四枚あるうちの外側二枚のテーブル板を外さないとネジにアクセスできない。

 

f:id:drops662:20180922005427j:plain

テーブルを外すと、ネジ穴に切り子が残っていた。この辺が雑なところか?

f:id:drops662:20180922005659j:plain

 アングルの穴はねじよりだいぶ大きめに開いていたのでずらすことで引っかかりは回避できた。

門型フレームの端面に空いたネジ穴とボルト穴の位置関係は結構雑で、ネジは入ったが穴位置にずれがある感じだ。

f:id:drops662:20180922005728j:plain f:id:drops662:20180922005854j:plain

 

ねじを締めこまず、ベースの上にフレームを置いただけの状態。

すきまがある。アングルなりフレームなり、なにかしらの直角度は出ていないということだ。平行に傾いているなら各軸のアライメントに影響はないと思うが、あまり気持ちのいいものではない。

だからといって今すぐどうこうできるものではないのでこのままネジを締めた。

ここの組み立てがXY軸の直角精度の肝になるが、門型フレーム(X軸)がテーブル(Y軸)に対して直角に置けるような位置決めピンや段差などの基準が用意されていないため、ただ組み立てるだけではXY軸の直角は出せない。

直角を出したければスコヤかなにかの直角基準を用意すればできるはず。

それはまたこんどやろう。

あとは各軸のステッピングモータと主軸モータを取り付けるだけで組み立て(というほどのものではないが)は終了する。

f:id:drops662:20181108004932j:plain

主軸モータはクランプで押さえるだけ。自由に突き出しを調整できるので工具長さへの対応力は高そうだ。

ステッピングモータの取り付けは写真を撮り忘れた。写真を撮ったところで別に見どころはないだろうが、強いて言うなら、ステッピングモータのマウントに空いた作業穴(上の写真参照)は一面にしかないので、継手のネジ締め作業がしやすいように上に向けて、塞がないでいると切り子などが入りっぱなしで出ていかない。うっかり小物を落とし込んでしまうとモータを外すはめになるだろうから注意すべきだ、ということぐらい。